元ハイリスク妊婦&ミニマリストの日記

妊娠19週からの切迫流産、20週にして子宮口が開き始めるも奇跡的に助かった小さな命。産まれた赤ちゃんにまさかの先天的な問題。ハイリスク妊婦として過ごした妊娠~出産~NICU入院までの経緯を文字に残すためのブログです。その他、育児奮闘記やミニマリストを目指す日常についてもゆるりと書いていきます★

私が唯一捨てなかった本

私が私物として持っている本はたった一冊です。それはフィクションの児童書。小学生の時に読んだ記憶があり、社会人になった頃ふとその本がまた読みたくなったのです。


でも本のタイトルがどうしても思い出せませんでした。覚えているのは、小学生くらいの女の子が老婆の姿をした悪い魔女に騙されて、身体を無理矢理入れ替えられる。老婆の姿となった女の子は元の身体を取り戻すために奮闘する、というものでした。私は曖昧な記憶を頼りにネットで検索し、やっとお目当ての本を購入することができました。それが「13ヶ月と13週と13日と満月の夜」という本です。


なぜこの本が記憶に残っているかというと、描写の仕方が絶妙だったからです。特に覚えていたのがこれ。



「白髪を整え、やぼったい古い服にはアイロンをかけた。その下にはぶかぶかで古くなってはいるけど清潔なブルマーをはき、血行をよくするのに効果のある医療用靴下をはいた。ぶかっこうだけど実用的な靴をはく。足には魚の目があり、巻爪が食いこみ、足が変形して痛いんだから、その靴が必要だった。足の爪は黄色くねじれ、でこぼこで、木の根に生えるキノコのようだと思った。入れ歯をきちんとはめる。眼鏡をタオルで拭いてから、階下にむかった。」



これは老婆の姿になってしまった女の子が、魔女に絶望している姿を見せまいと少しでもましな姿をしようと努力している場面です。ブルマって小学生が履くイメージしかなかったのに、お婆ちゃんも履くんだ?と子供ながらに不思議に思ったのを覚えています。自分もおばあちゃんになったら関節という関節が痛くなって、たくさんの薬を飲まなきゃいけなくて、階段を登るのも大変になるんだ。


この本が一番言いたかったことは、「今を大事に生きること」だと思います。魔女によって若い身体を奪われた女の子は、恋をしたり、家族を築いたり、好きなことをしたり、いろんなことを経験するはずだった。それを全部すっ飛ばして年老いてしまった。


本の中で、「この世で一番悪い盗みは人の時間を盗むことだ」とあります。お金を盗まれてもまた稼げるかもしれないし、名誉を盗まれてもまた回復できるかもしれない。でも時間は特別。


私が以前働いていた職場で、性格はくせがあるけど正論を言う人がいました。その人が、「この世で唯一平等なのは時間だけだからね。」と言っていたのがとても記憶に残っています。お金も平等じゃない、男女も平等じゃない、容姿も平等じゃない。だけど、時間だけはみーんなおんなじ。タイムマシーンが開発されない限り。


100歳まで生きる人と若くして亡くなってしまう人は時間的に平等といえるのか?と思いましたが、それはその人その人の寿命であって、その人が生きた1分1秒は結局同じ。大泣きした1分も、お腹を抱えて笑った1分も同じ。時間だけはこの世で唯一平等に流れている。


だからこそ、今を大事にしなきゃなと思います。私は今、「早くお金を貯めて家を買って家族で好きなように暮らしたい」とばかり考えています。そのことばかりに気を取られて、「ああ、早く、早く。」と今を疎かにしている気がします。でもそんなことで時間を大切にしないのはとても勿体無いですね。


f:id:shunmama:20180326183215j:plain

今日は散歩で青々とした植物が力強く育っているのを見つけて、その姿が何故かとても魅力的に見えて写真を撮りました。本当はいつもそこにあるのにただ通り過ぎていただけでした。こういうのに何気なく気付けるようになったら、時間を大事にしているような気がします。